お知らせ
『vanitas』は、次号No. 010より下記の5名による編集チームで運営してまいります。今後ともご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
編集委員(五十音順) 赤阪辰太郎・蘆田裕史・鈴木彩希・藤嶋陽子・水野大二郎
論文・批評の公募
foreword
ファッションを批評することにはどのような意味があるのだろうか。それは、ファッションデザイナーの作る衣服やファッションデザインを語ることにとどまらない。過去をひもとき、現在を見通し、そして未来を創る──そのような営みこそがファッション批評ではないだろうか。ファッションをめぐる問いは、ほかでもない私たち自身にひらかれている。
日本にはファッションの批評がないと言われ続けてきた。そうした状況を更新すべく、2012年、われわれは『vanitas』を創刊した。そして、創刊時に記したように10年後、50年後を同時に視野に入れ、研究論文やインタビュー、海外のファッションスタディーズの紹介など、さまざまな仕方でファッション批評の構築を試みてきた。
いまや多様な方法でファッションが問われ、不特定多数にひらかれたファッションの語りの場が数多く生まれている。『vanitas』が目標に掲げたファッション研究・批評の構築、その土壌は整いつつあるだろう。小さく始まったわれわれの試みはいま、多くの読者=語り手に受け継がれ、新たな広がりを見せている。だからこそ、あらためてその開始地点に思いを馳せたい。ゆるやかに、しかし確かに、歩みを止めることがないように。
ファッション批評の未来を紡ぐことは、ひいては私たち自身の未来をつなぐことなのだと信じて。
2025年 『vanitas』 編集部
foreword(No. 001–008)
日本にはファッションの批評がない、としばしば言われる。ファッションは文化として認められないことがよくあるが、その理由の一端はここにあるのではないだろうか。ファッションがビジネスであることを謳いながら、「ファッションに批評は似合わない」と言われることもある。だが、現代では美術も音楽も映画も文学もおしなべてビジネスとしての側面をもっており、ファッションだけが特権的な立場にあるわけではない。
とはいえ、批評の不在を嘆いていても何も始まらない。われわれに出来ることはただひとつ、がむしゃらにでも進むことである。過去も、現在も、未来もすべて引き受けよう。たとえそれが無謀な試みに見えようとも。
批評はひとつの制度であり、それを一朝一夕に確立することは難しい。本誌は「批評誌」を謳っているが、狭義の「批評」におさまるものではない。研究者による論文もあれば、デザイナーによる試論もある。インタビューもあれば、海外のファッション研究の紹介もある。一見すると「批評」以外のものが多いように思われるかもしれない。だが、これらはすべて批評の構築のためにある。われわれは現在だけでなく、10年後、50年後を同時に視野に入れている。大仰な表現かもしれないが、批評を根付かせるためにはそのくらいの時間が必要だろう。だが、まず第一歩を踏み出さねば物事は始まらない。
この『vanitas』という小さな一歩が、大きなうねりを生み出すことを願う。
既刊紹介
No. 001(品切) http://adachipress.jp/fashionista001
No. 002(在庫あり) http://adachipress.jp/vanitas002
No. 003(品切) http://adachipress.jp/vanitas003
No. 004(在庫あり) http://adachipress.jp/vanitas004
No. 005(在庫あり) http://adachipress.jp/vanitas005
No. 006(在庫あり) http://adachipress.jp/vanitas006
No. 007(在庫あり) https://adachipress.jp/vanitas007
No. 008(在庫あり) https://adachipress.jp/vanitas008
No. 009(在庫あり) https://adachipress.jp/vanitas009
紹介記事
REPRE 12号(2012年5月) 『fashionista』創刊記念インタビュー
Fashionsnap.com(2015年10月) 何が変わった?ファッション批評誌「ヴァニタス」が最新号発売
WWD JAPAN(2019年7月) ファッション教育、研究、批評の現在 「vanitas No.006」
ブックガイド・リンク集
ファッションデザイン研究のために有益な書籍や論文へのリンクです。各テーマに関する解説は『vanitas』No. 006をごらんください。
https://adachipress.jp/vanitas006-reference
編集委員プロフィール(五十音順)
赤阪辰太郎(あかさか しんたろう)
大谷大学国際学部国際文化学科任期制助教。専門はフランス哲学、現象学、ファッション論。著書に『サルトル』(大阪大学出版会、2024年)、共著に『フェミニスト現象学』(ナカニシヤ出版、2023年)、論文に「サルトルと弁証法」(『Limitrophe』第10号、2026年)などがある。
蘆田裕史(あしだ ひろし)
京都精華大学デザイン学部教授。専門はファッション論。著書に『言葉と衣服』(アダチプレス、2021年)、編著に『クリティカルワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022年)、監訳書にアニェス・ロカモラ&アネケ・スメリク編『ファッションと哲学』(フィルムアート社、2018年)、ヴァレリー・スティール『ファッションセオリー』(アダチプレス、2025年)などがある。本と服の店「コトバトフク」運営メンバー。
鈴木彩希(すずき さき)
関東学院大学人間共生学部共生デザイン学科講師。専門はファション史、ファッション文化論。論文に「戦後における着物の改良と『新しいキモノ』の潮流」(『デザイン理論』第80号、2022年)、訳書にヴァレリー・スティール『ファッションセオリー』(アダチプレス、2025年)などがある。
藤嶋陽子(ふじしま ようこ)
立命館大学産業社会学部准教授。Synflux株式会社CCO。専門は文化社会学、ファッション研究。著書に『「ありのまま」の身体』(青土社、2025年)、編著に『クリティカルワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022年)、『広告文化の社会学』(北樹出版、2024年)などがある。
水野大二郎(みずの だいじろう)
京都工芸繊維大学デザイン科学域デザイン学専攻教授。専門はファッションとインクルーシブデザイン、デジタルファブリケーション、デザインリサーチなど。共著に『サーキュラーデザイン』(学芸出版社、2022年)、編著に『サステナブル・ファッション』(学芸出版社、2022年)、監訳書にマット・マルパス『クリティカルデザインとはなにか』(BNN、2019年)、アルトゥーロ・エスコバル『多元世界に向けたデザイン』(BNN、2024年)などがある。
デザイン:太田知也(デザイナー、リサーチャー)
ロゴ、マーク:UMA/design farm
発行・発売:株式会社アダチプレス
