『vanitas』No. 010 論文・批評の公募について

『vanitas』は2012年の創刊以来、論文と批評の公募を行ってきました。私たちはファッションの批評を実践したい、論文を書きたいと思う人たちがいることを信じて活動を続けています。『vanitas』の刊行はいわば批評のためのインフラ作りであり、潜在的なプレイヤー=書き手の受け皿となることもそのひとつです。

次号No. 010(2027年4月刊行予定)の特集では、「ファッションと〈流通〉」(仮題)というテーマを取り上げます。以下のエディターズノートをご一読のうえ、ご応募ください。なお、論文に関しては特集テーマに即した内容でも、自由テーマでもけっこうです。みなさまからの積極的な投稿をお待ちしています。

わたしたちがファッションを見る・買う環境は大きく変化しました。以前は限られた関係者のフィルターを介してしかアクセスできなかったファッションショーを、今ではブランドのライブ配信からリアルタイムで見ることができます。SNS上で見かけたすてきなスニーカーは、タグ付けや画像検索ですぐに特定でき、ワンタップでECサイトから購入、翌日には自宅に届けてもらうことが可能です。情報やイメージ、そして商品すら瞬時に手元に届くようになった時代に、ふと頭から抜け落ちてしまうのが「どこからきて、どこへゆくか」、すなわち「流通」にかかわる事象ではないでしょうか。

もちろん、情報管理が中央集権からブロックチェーンへと置き換わることによって、流通経路の透明化が進められています。メルカリで購入したTシャツがいつコンビニに預けられ、いまどの地域の配送センターにあるのか、わたしたちはアプリ上で知ることができるのです。運送ドライバーの高齢化や労働環境に由来するなり手不足、国際関係の悪化がもたらす経路の不安定化、運輸コストの上昇、災害時の対応などネガティブな課題が語られるものの、AI技術による効率化やドローン配送、無人運転によって早晩解決されるだろうーーそんなふうに楽観論が語られることもしばしばです。

しかし、短縮や透明化と表裏一体の形で見えない変化も生まれています。輸送の効率化は、効率的な輸送に適した商品への変化を促し、また、そのような商品がより多くの消費者の目に留まるよう、アルゴリズムに介入しながら広告とイメージ戦略のあり方を変えてゆきます。流通と商業を司るギリシャの神ヘルメスが、アポロンから牛を隠し、自らの行いをいつわる計略の神でもあったことを思い起こしましょう。

こうしたなかで、届ける過程そのものの物語化への欲望が広がりつつあるのを感じています。大ヒットした『DEATH STRANDING』(2019年)は厄災によりインフラストラクチャーが破壊されたアメリカで配達物を届けるミッションが核となったゲームでした。フセイン・チャラヤンが1999年に発表した「Airmail Dress」のように、流通にかかわる人びとの余白を残したドラマは、忘れられがちな運ぶ/届ける時間とそれに携わる人びとへの想像力を喚起します。すべてが透明になった、という錯覚に惑わされたその奥底で、欲望は不可視なものに向かって動き始めているかのようです。 今号ではこのような観点からファッションと「流通」について考えたいと思います。

2026年3月

『vanitas』編集委員 赤阪辰太郎・蘆田裕史・鈴木彩希・藤嶋陽子・水野大二郎

本誌の概要と編集委員略歴 https://adachipress.jp/vanitas

特集テーマ

論文:ファッションと〈流通〉

自由テーマ

論文:ファッションに関するものであれば内容は問いません
批評:ファッションデザイナー(テキスタイルデザイナーなども可)を対象とした作家論

応募資格

なし

応募方法

投稿を希望される方は、下記の方法で要旨の提出をお願いします。確認後、編集部より受領通知を差し上げます。

  • 送り先:アダチプレス『vanitas』編集部 info@adachipress.jp
  • 必要事項:「論文/批評」および論文の場合は「特集/自由」を明記、タイトル(仮でもかまいません)、要旨(200字以内)、氏名、略歴、連絡先(メールアドレス)

  • 【件名】批評
    【本文】テベ・マググ論――ポストコロニアル・アフリカをまとう:テベ・マググは、南アフリカ出身のファッションデザイナーである。マググの仕事をアフリカの歴史や社会的制度の可視化として考察することにより、彼がいかにしてグローバル市場におけるアフリカン・ファッションを更新しているのかを批評的実践の観点から明らかにする。
    【氏名】論文太郎
    【略歴】所属、専攻など

執筆規定

  • 未発表の論文・批評に限ります。
  • 論文は10,000字程度、批評は4,000字程度(注・参考文献を除く)。
  • タイトル、氏名、略歴を明記してください。
  • 採否に関しては査読後、編集部よりメールでご連絡いたします。
  • 採択された場合でも加筆修正をお願いすることがございます。
  • 図版の使用許諾の手続き、使用料の負担は投稿者自身でお願いします。掲載時には図版はモノクロで印刷されます。
  • ゲラ(PDF)による著者校正は1回です。
  • 表記や注、引用の仕方については下記リンクをご参照ください。引用箇所が不明瞭な場合は受理できません(リンクの許可をくださいました佐藤守弘氏に感謝いたします)。
    http://web.kyoto-inet.or.jp/people/b-monkey/howto.html
  • 原稿料はお支払いできないことをご了承ください(掲載誌ならびに掲載ページのPDFを謹呈いたします)。
  • 論文・批評の著作権は著者に帰属します。
  • ご不明点などのお問い合わせは、アダチプレス『vanitas』編集部 info@adachipress.jp 宛にお願いいたします。

締切

  • 要旨の提出:2026年4月27日(月)
  • 論文・批評の提出:2026年10月13日(火)

掲載誌

  • 『vanitas』No. 009(2027年4月刊行予定。発行・発売=株式会社アダチプレス)
  • 本誌についてはhttp://adachipress.jp/vanitasをごらんください。