クレア・マッカーデル『わたしの服の見つけかた』

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ためし読み

1940〜50年代に活躍、機能性と美しさが両立した既製服を手がけ、「アメリカンルック」の創始者と呼ばれる伝説的ファッションデザイナー、クレア・マッカーデル(1905-1958)。自身の豊かな経験にもとづき、服をめぐるあらゆる疑問をていねいに解き明かす本書(1956年刊)は、「おしゃれ入門」の古典にして、バイブルともいうべき一冊。女性が心から服を楽しむための永遠の知恵と、いまこそ必要なヒントを日本初紹介。写真・イラスト多数。

目次

第1章 ファッションとは?
第2章 自分のファッションを作り上げましょう
第3章 小さなアクセサリーのコレクション
第4章 ベーシックなコートは買わないで
第5章 「ジョーンズ夫人」を、あなたのフォロワーにしよう
第6章 それはドレスのせいですか?
第7章 ファッショントレンドはどこからやってくるのか?
第8章 ドレスに負けない
第9章 ドレスアップとドレスダウン
第10章 服の作法
第11章 本当のスポーツウェア――誰にも気づかれないように
第12章 誇れる旅行
第13章 「前髪で眉毛を隠す人」
第14章 「マッカーデルさんへ。娘がこんな服を着るといって聞かないのですが……」
第15章 ファッションに最終章はありません
マッカーデリズム
クレア・マッカーデル年譜
解説
訳者あとがき

本書より

ファッションは楽しくなくては、とわたしは思っています。あまりにも生真面目にファッションに挑んでしまうとき、自分自身に問いかけます。ニューヨーク近代美術館に展示されているような服をデザインしていたら、「それはどこで着る服なんですか?」というバイヤーの声が聞こえてきて、現実に引き戻されるのです。(4-5ページ)

わたしのデザインアイデアは、ほとんど自分自身の問題解決のために浮かんできたものです。わたしの問題は、あなたの問題と同じ。わたしは自分でジッパーを上げ下げしたいし、自分でフックも留めたい。夕食を料理しながら、お客様も迎えられるドレスがほしい。みなさんも同じだと思います。(23ページ)

まずは、自分が何種類の顔を持ちたいのかを把握しましょう。仕事場で、家庭で、ランチで、週末での顔。そこに自分のワードローブも合わせましょう。自分の人生をどうドレスアップするかを決めるのは、あなた自身なのですから。(35ページ)

「これ買います」と言う前に、そのドレスやスーツを着たまま座ってみてください。鏡の前で立っているだけなら完璧なそのスカート、座る動作をしても問題はないですか?(132ページ)

服は着られるために、着て生きるために作られるのです。わたしは雨の下でも、太陽の下でも、スポーツをしているときでも、ただ座っているだけでも素敵に見えて、そして心地よく過ごしたいのです。素晴らしいカットで素晴らしい作りでも、うわべだけの服は好きではありません。(142ページ)

気まぐれで、おめでたくて、素晴らしくて、予測不可能なもの、それがファッションだと思っていてください。あなたらしく素敵になることが大切なのです。決してファッションの奴隷にならないように。(188ページ)

ファッションは脈々と続いてきた、そしていまも続く終わることのない物語です。誕生と再生。ネガティブよりもポジティブで、決して独断的ではありません。この本に書いたルールのすべてはすでに破られているか、いずれ新たなファッションの誕生とともに破られるのです。これぞファッションの醍醐味。挑戦であり、楽しみです。ファッションは移り気で、止まることを知らないということを覚えておきましょう。その柔軟性を利用して、新たなルールを作ればいいのです。(234ページ)

マッカーデル&本書の紹介記事

「一貫したポイントは、流行やトレンドよりも自分らしさ、自分に似合う服を探すこと、しかしそのためには冒険してみることが必要で、やらないで思い込みに捕らわれていてはいけない、ということだろう」
――朝日新聞デジタル「いまもっと必要な、クレア・マッカーデルの半世紀以上前の装いの提案」より(2019年1月25日)。評者=上間常正

「気取りのない、おしゃれに関するおしゃべりの一冊。こんなに正直でいいのかしら、というくらいあけっぴろげに自分のワードローブを紹介して、服選びの基本を実に具体的に語りつくしている」
――週刊読書人「先駆者のモード哲学の本 気取りのない、明るく健康的な」より(2019年1月25日)。評者=川田信乃

「ブランド、価格問わず、自分が好きになったものを身につけていいんだと背中を押してくれました。2019年、クレア・マッカーデルにならって、自分のスタイルを考えてみませんか?」
――SPUR.JP「伝説のデザイナー、クレア・マッカーデルに学ぶ」より(2019年1月7日)

「優れたデザイナーであった彼女の考え方から、デザインの本質を学び取ることもできるはず」
――WWD JAPAN「ファッションを読む 2018年に出版されたファッション関連書籍10選」より(2018年12月29日)

「自身の体験をもとに『おしゃれの基本はお金ではない』など、今でも新鮮な言葉が並んでいる」
――読売新聞2018年12月14日夕刊より

「ちなみにこれは初版が1956年。そんなに昔でも、服の基本って変わらないということがよーくわかるし、いまだにこのことが日本ではわかってないのだなということもわかります」
――小林直子ブログ「麻とヴェルヴェット:最近読んだ本」より(2018年11月26日)

「ニュールックの発表によって、戦後から今に続く現代ファッションが始まった。しかし、この1940年代、注目すべきデザイナーはディオール以外にもいる。それはパリのデザイナー達でもない。今以上に世界のファッションの中心であったパリから遠く離れた地、アメリカにそのデザイナーはいた」
――AFFECTUS「モードの見方 1940年代」より(2018年11月20日)

『GINZA』2018年5月号(マガジンハウス)

『vanitas』No. 003(アダチプレス、2014)

著者 クレア・マッカーデル(Claire McCardell, 1905-1958)

『TIME』1955年5月2日号

アメリカのファッションデザイナー。1940年代から50年代にかけて活躍。機能性と美しさが両立した既製服を手がけ、「アメリカンルック」の創始者と呼ばれる。1956年に本書を刊行。展覧会に”Three Women: Madeleine Vionnet, Claire McCardell, and Rei Kawakubo”(三人の女性――マドレーヌ・ヴィオネ、クレア・マッカーデル、川久保玲)など、評伝にClaire McCardell: Redefining Modernism(クレア・マッカーデル――モダニズムの再定義、未訳)がある。日本では成実弘至『20世紀ファッションの文化史――時代をつくった10人』(河出書房新社)で紹介されている。
FASHION PRESS:クレア・マッカーデル
ウィキペディア:クレア・マッカーデル
メトロポリタン美術館:Claire McCardell

訳者 矢田明美子(やた ゆみこ)

ライター、編集者。ニューヨーク州立ファッション工科大学大学院にて服飾博物館学を専攻。メトロポリタン美術館コスチューム・インスティチュートにてインターン、京都服飾文化研究財団、出版社勤務を経て、フリーランス。著書に『リトル・ブラック・ドレス』(二見書房)など。ローマ在住。

解説 蘆田裕史(あしだ ひろし)

ファッション論、服飾史研究。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部専任講師。著書に『ファッションは語りはじめた』(共著、フィルムアート社)、監訳書に『ファッションと哲学』(同社)など。ファッションの批評誌『vanitas』(アダチプレス)編集委員、本と服の店「コトバトフク」の運営メンバーも務める。

本書の概要

書名 わたしの服の見つけかた クレア・マッカーデルのファッション哲学
著者 クレア・マッカーデル
訳者 矢田明美子
解説 蘆田裕史
イラストレーション Annabrita
デザイン 佐藤温志
四六判(188mm×128mm)、並製、288ページ、巻頭口絵8ページ、本文イラスト約120点
ISBN 978-4-908251-09-2
価格 本体1800円+税
発行日 2018年11月15日
原書 Claire McCardell, What Shall I Wear?: The What, Where, When and How Much of Fashion (Simon & Schuster, 1956. 復刻版The Rookery Press / The Overlook Press, 2012)

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